2015年7月28日火曜日

74℃で開弁するローテンプサーモスタッドに交換してもミニクーパーのオーバーヒート対策にはなりません

猛暑のせいかオーバーヒート&冷却対策系の検索が目に付く、今日この頃。

その中に意味不明すぎるワードがあったので www
ローバーミニ1000 サーモスタット交換してもオーバーヒートする
ローバーミニ1000はサーモスタッド交換でオーバーヒートしなくなるの???
んな、アホな!!
(オイラのシビックみたいに「サーモスタッドが固着」なんて、パーツ故障の場合を除く)



そもそも、なぜ夏になるとミニはオーバーヒートするのか?
 それは、夏は外気温が高いから・・・。
そのまんま(^^;

外気温(以下、ラジエターに当たる風の温度の事)が高くなると、
 水温と外気温の温度差が小さくなる
ので、ラジエターの放熱能力が低下することになる。

いろいろ省きまくって単純な話にすると、外気温が20℃上がったら水温も20℃上がらないと、エンジンの発熱と、ラジエターの放熱の関係が釣り合わない。


それは、どいういことかと外気温違いでどれぐらい放熱能力が低下するかをザックリ計算で比較してみようかと。

ラジエターの放熱能力は、概ね外気温と冷却水の温度差に比例するので、例えば
 ①外気温が36℃で、水温が90℃
の時と
 ②外気温が10℃で、水温が90℃
の時とで、ラジエター放熱能力を比較すると
 (90 - 36) / (90 - 10) = 54 / 80 = 67.5%
 (水温 - 外気温) / (水温 - 外気温) = 温度差 / 温度差
となる。

水温が同じ90℃の時でも、外気温が36℃に上がっただけで放熱出来る熱量は67.5%まで低下してしまう事になる。そして、放出しきれなかった熱は冷却水を加熱し水温を上昇させる (^●^)
(ラジエターの性能曲線とか諸々の話もしだすと話がややこしくなり、メンドくさいから、温度差だけの話に絞りました。)


外気温以外の条件は変わっていないとして、ありがちなオーバーヒート対策について長い?堕話。

■ローテンプサーモスタッド


サーモスタッドとは水温管理のためにラジエターに繋がる水路を自動的に開閉する切り替え弁のことで、設定温度を超えたら弁を開きラジエターに水を流したり、冷えてきたらまた弁を塞ぎラジエターに流れる水を減らしたりすることで、水温をコントロールするパーツ。


現在ミニクーパー用のサーモスタッドは、三種類が流通しており開弁温度は、74℃、82℃、88℃ のものがあるのですが、74℃で開弁する設定のサーモスタッドが一般的に言うところのローテンプサーモスタッド相当?

で、どのサーモスタッドも開弁する温度が違う以外違いはなく、水温が上昇してしまえば74℃のサーモスタッドも、88℃のサーモスタッドも全開になってしまい、水温が100℃近くなる領域での放熱能力は変わらないので、オーバーヒート対策にはなりません。
サーモスタッド交換によって向上するミニクーパーの冷却能力は、
 0.000000・・・・%
(ゼロを何個書けば、皆無と理解してもらえるのだろか????)

更に、ローテンプサーモスタッドに交換すると、外気温と水温の差が小さくなるのでラジエターから捨てることが出来る熱は増るどころか、減るんです!!
たとえば、外気温が36℃の時に水温が100℃付近でエンジンの発熱と、ラジエターの放熱量が釣り合い、水温が安定(平衡)する状態だったと仮定。
 ①外気温が36℃で、水温が74℃
 ②外気温が36℃で、水温が100℃
として、ローテンプサーモスタッドの開弁温度の水温での放熱可能な熱量を比較計算すると
 (74 - 36) / (100 - 36) = 38 / 64 = 59.3%
 (水温 - 外気温) / (水温 - 外気温) = 温度差 / 温度差
となり、水温74℃では水温100℃の時の約60%の熱しか捨てることが出来ないと分かる。
サーモスタッドが早く開こうがどうしようが、放出できない残りの約40%の熱は冷却水を温めるのに使われ、水温が上がる www

ただし、このままでも外気温が10℃に下がれば・・・
 (100 - 36) = (74 - 10) = 64℃
どちらも温度差Δtが64℃で同じになり74℃で水温が安定出来る。これで、ようやくローテンプサーモスタッドの能力発揮?
って、オーバーヒートの対策になってないじゃん (^●^)

外気温が低い場合や、エンジンの負荷が小さく発熱が少ない状態では、サーモスタッド交換による水温低下の効果を実感できるかもしれませんが、その状況はむしろオーバークールの弊害が色々と (((((((・・; サササッ

ちなみにオイラのミニ1000は年中88℃(水温あがらねぇと思ったら82℃を入れていました・・・。)のサーモスタッドで固定していますが、真夏に炎天下で渋滞にはまっても水温は3桁に入ることはほとんどありません。
むしろオーバークール対策で純正ラジファン取っ払って電動ファン化したぐらい。

・メリット
 ??????

・デメリットってか害ばかり
 気温が低いときのオーバークール(燃焼効率悪化、燃料の気化悪化のオイル希釈・燃費悪化、ヒーター効かない、・・・)


■電動ファンの追加(停車・低速走行時の風量確保)



オーバーヒート対策代表格?
電動ファンは、走行風の無いまたは、少ない時の風量確保が目的なのですが、万能なように勘違いしている人が結構多いような?

アイドリング停車時や、渋滞時のノロノロ運転時のオーバーヒート対策にはなりますが、走行中は走行風の方が強いので走行中のオーバーヒート対策には効果はありません。
今どきの国産車なんかに乗ると、停車してしばらくしてから電動ファンが動く事から分かるように、走行中はほとんど作動していませんから。

むしろ取り付け方法が悪いと、ラジエターの風抜けの邪魔をしてオーバーヒートが悪化なんて場合も?

さらにファンの選定を間違うと、風量不足でオーバーヒートなんてこともあります。
ミニクーパーの場合、ラジエターの幅から10インチを選択することになると思います。
オイラは、オーバークール対策で純正ラジエターファンを外し10インチの電動ファンのみに改造しましたが真夏の真昼間に渋滞に嵌っても水温が上がりすぎることはないです。
ただし、8インチでは秋口の涼し目の時期でもオーバーヒート気味になりました。

・メリット
 アイドリング、渋滞・低速走行時のオーバーヒート抑制。

・デメリット
 消費電力の増加。作動音がうるさい。


■ローテンプサーモスイッチ/手動電動ファンスイッチ(停車・低速走行時の風量確保)

サーモスタッドが開いていない温度でファンを動かして、エンジンルームの熱気を抜くのかな~?
電動ファンの作動頻度が増えるので、発電・充電系が追い付かないとバッテリー上がりを促進する。

・メリット
 ??????

・デメリット
 消費電力の増加。


■強化ラジエターキャップ(冷却水の吹き出しタフネスUP)


強化ラジエターキャップは水温を下げるパーツではありません。

ここで、そもそもオーバーヒートとは?エンジンが加熱しすぎる事?
オーバーヒートについてクソ長い文章を書いておいて、ここまで来て今更な気がしなくも、なくも無い?
・水温計がHに上がったらオーバーヒート?
・一般に水が沸騰する100℃を超えたらオーバーヒート?
・ラジエター液が吹き出したらオーバーヒート?
・・・。
個人により解釈は、それぞれ?

個人的には
・ラジエター液が吹き出したらオーバーヒート?
と思っていますが???
(オーバーヒート = エンジンがお亡くなりになり載せ替えやオーバーホールが必要になるかもしれない、動かしちゃいけない温度。 100℃を超えたあたりからプラスチックやゴム部品の強度は急激に下り、120℃辺りからは溶け出すものもありかなり危険。)

が、やたらと
 オーバーヒート何度!!
と温度ばかり気にする検索が多いようなので追記。
温度も大事ですが時間や、頻度の事も大事かと?100℃程度でも頻度が多かったり、しばらく続くようならば危険域で、そのまま乗りつづけていると小さなオーバーヒートのダメージが蓄積し、終いにはエンジンが終わってこんなに事になるかも(((((((・・;)サササッ
更に、油温は水温以上に上がっていることが多く、高温下ではオイルの劣化が急速に進むので、オーバーヒートさせたらエンジンオイルは距離や時間に関係なくすぐに交換すべきのですが、交換しない人が多いのは何故?高温で劣化したエンジンオイルを使い続けると、最後は本当にこんな状態に???

また、今まで何も問題の無かった環境で、急にオーバーヒートが頻発し、いろんなオーバーヒート対策を試しているうちに、どんどんオーバーヒートの状態が悪化し、あきらめてショップに見てもらったら、サーモスタッドの固着や、ヘッドガスケットが抜けてシリンダーブロックにクラックが入りエンジン終わり再起不能になったなんて話や、やたらと冷却水が減るからと水ばかり足していて冷却水路が鍾乳洞化して大丈夫だったハズのラジエターやヒーターコアまでゴミにしてしまい修理費用がさらに高額に!?なんてwww



ようやく本題、ラジエターキャップとは、冷却水に与圧をかけることで沸点を上げるもの。

純正のラジエターキャップの与圧設定は、78~98kPaあたり、強化品はこれより10~30kPa高い98~128kPaぐらいの設定のものが多いですかね?
実際にはこれに大気圧分(98kPa)が加わるので、水とした場合にラジエターキャップ違いでの沸点を飽和水蒸気圧から求めると
 98kPa品 約120℃
 128kPa品 約125℃
冷却水が吹き出すまで数度の余裕が持てるというだけ。

もっと圧力を上げてしまえばさらに沸点が上がって、いいじゃん!!
と、キャップのリリーフ圧の設定を倍の196kPaの設定にしたと仮定して、約135℃(水相当)にしかならない。
圧力が上がるとホースやシールへの負担が上がり、冷却水漏れやホースのパンク、抜けや等の危険性が高まったり、樹脂部品の強度が急速に低下し壊れたりーの溶けたリーの、オイルが劣化しスラッジが大量生成してしまいには詰まって潤滑不良で詰まったり、温度の上がりすぎてオイルの潤滑力が低下し焼き付いたり・・・諸々を考慮してか???
98kPa前後の設定が一般的になっているみたい?


堕話のさらに堕話
一般的なクーラントの主成分のエチレングリコールの沸点は200℃近くあり、某石油会社のクーラントの原液の沸点が165℃との事なので、それを水で30~50%に薄めたとしても水の沸点よりは高いはずですが・・・。

オイラの経験的には、120℃を超えたあたりから冷却水が吹き出しはじめ、130℃前後からグツグツ沸騰。
更に130℃を超えて温度が上がり始めると急激に温度上昇がはじまり、その時には冷却水がすっからかん。
という感じ? ま、その時には終わってる (((((((・・; サササッ


堕話のさらに堕話の堕話
ミニの場合、純正相当のラジエターキャップはリザーブタンクの有り無しで2種類あり、リザーブタンクの無い個体に後付けで自作のリザーブタンクを追加した際は、リザーブタンク付用のラジエターキャップに交換しないとクーラントが出るだけで戻りません。

リザーブタンクを追加したつもりが、クーラントキャッチタンク???を追加しただけで本人は
 頑張って自作したリザーブタンクにクーラントがいっぱい入っているから大丈夫!!
なんてご満悦〜。でいたら、ラジエターの水はスッカラカンでオーバーヒートなんて笑い話が作れるカモ???

逆にリザーブタンクの無い車両にリザーブタンク付き用のラジエターキャップをつけても特に害はないので、リザーブタンクをつける気は無いですがラジエターキャップはリザーブタンク付きでも使えるものを使っていたり。


堕話のさらに堕話の堕話の堕話
実は、真夏に渋滞に嵌ったりすると水温が100℃近くまで上がる事は国産車でも珍しくなく、水温計と言えばHとLしか書いてい無いアナログメーターが主流だったのですが 真ん中より上を向いただけで神経質な人は騒ぎ出すので、針がなるべく真ん中から動かないようになり・・・
それでも針が少し上に動いただけで神経質すぎる人は騒ぎ出すので
最近の車は水温計自体が無くなってしまった車が増え、低温時は「L」と書いた青いランプが点くだけ、高温時は「H」と書いた赤いランプが点くだけになってしまったらしい?

でも、「H」の赤ランプが点いた頃にはかなりの高温で、本気でヤバイと思ったほうがいいです。冷やして辛うじて動けてもレッカー呼んでブプロに見てもらったほうがいいかと???


・メリット
 水温が120℃ぐらいまで上がることがなければ、毒にも薬にもならない。

・デメリット
 ラジエターホースや、シーリングの負担が上がるかも?


本日は疲れたので、以下追記予定(夏休みに暇になったら書き足すカモ?)

■強化ウォーターポンプ、増速・小径ウォーターポンププーリー


結局、ラジエターがダメなら何をやっても根本的なオーバーヒートの解決にはならないと。

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