知り合いに
古すぎて部品が出ず修理してくれるところが無いから見てくれない?
と聞かれ、電気回路なら暇つぶしで見るだけなら見てみてもいいか~と、問題の部品を受け取ったところ・・・。
オイラも学生のころからずーーーと機械設計が本業で、電気なんて理科でオームの法則習った以上のことは全く誰にも習ってないのですが・・・。
修理の内容は・・・。
スイッチパネルと制御基板の間のフレキシケーブル ブッチ切れ(・_・)
曰く
切れたフレキを繋げば治ると思いますよ
トカ?・・・。
そもそも切れたフレキは治せない!!
マジ最悪である。。 。。。故障箇所がわかってんなら自分で治せるでしょ!!回路も何も関係なく見える部分を単純に繋ぐダケ!!なんだから。
ま、オイラ的には最初からフレキの修理と聞いていたら見るまでも無く
治んないですよ!!
と一言で終わり。 絶対に受けないし。
なぜか!? まともな補修方法がなく補修が難しい上に、補修してとりあえず治ったとしても補修部が断線して絶対に再発するから!!部品交換以外では、まともに治る事がない。
理由は単純で、フレキは半田付け出来ないから接合出来ないんだもん。
無理やりハンダでつけようとコテで熱しようものならフレキがデロンデロンになって穴あいたりして完全ゴミ。今回は特にフレキの基材が物理的に切れているので導電マーカーみたいなもんで繋いでもフレキが屈曲しだだけで、すぐ再断線。
同じフレキ切れでも、両方が銅でパターンを引いている基板になっていて半田で繋げる物ならば、バイパスして延命もできなくもないのだけれども、こいつはスイッチパネル側がフレキと同じフィルムに導電性インクで印刷して配線とスイッチを兼ねていると思われる作りで、スイッチパネル側に基板が無いので、半田付けによる修理は選択不可。
普通は部品交換なのだけれども古すぎて部品が出ないから、なんとか治したいのだとか?
絶対に再発するのがわかっている修理で、手間と部材費用もそれなりにかかり、再発必須で、完全に受けた損の作業だから気が進まず散々文句を撒き散らすわけですが、見てみると言って受け取ってしまった手前、何もしないで返却するのも気がひけるのでフレキの暫定補修ダケはやるかと (T_T) (;_;) (つд⊂)エーン
あらためて観察すると確かにかなり古いものっぽく、加水分解でフレキのフィルムがポロポロで脆くなりつつあり・・・。触っているうちに断線被害が広がる気しかしない感じのため、とりあえず切れた部分を裏打ち補強するとして・・・。
でも、既にポロポロになりかけているフレキにホームセンターあたりで入手できるようなテープを張っても、日持ちせず剥がれるか、そのうち粘着がデロンデロンになるとか・・・。なので、カプトンテープという耐熱性が有る絶縁テープを入手するしかないか~。
昔に比べれば入手もしやすく、値段もかなり安くなりましたが、それでも安くは無く・・・。
とりあえず断線部分の裏打ち補強が終わったので、試しにフレキの保護膜を削り導電体の露出を試みる。これ、塗布されている導電体が予想以上に薄く、導電体だけ残して保護膜だけ削るのは、老眼始まり加減の手先が怪しくなり始めたオッサンには難しい。これを8か所カヨ (((((((・・; サササッ
マジ拷問 (*_*)
導体を露出させたところで、将来の再断線に備えて回路を把握しておかないと、再断線した時にはフレキがプローブを当てることさえままならない状態になっている可能性も高いので、今のうちに回路の確認をしておいたほうが無難かと?スイッチの接続を当たることにする。
露出した導体のスイッチパネル側にテスターを当てながらスイッチを押して反応を見てみたもののプローブを当てるのが難しいせいか?どのスイッチを押しても反応が無く、一度フレキを繋がないとスイッチパネルの回路の推測も出来ない模様???
スイッチパネルをバラせればテスターで回路を確認なんかしなくてもいいのだけれども、スイッチパネル自体が接着張り合わせという非分解な作りで、スイッチパネルを破壊しないと回路を探ることすら出来ないという・・・。
簡単に綺麗に戻せるものならば躊躇なく三枚下ろしにするのだけれども、このタイプは剥がそうとすると、伸びたり~の、折り目が付いたり~の、白化したり~の、切れたり~の、意図していない層が剥離して印字が戻せなくなり〜の、剥離したい層に限って強力にくっついて剥がれずベロンベロンのバキバキになり、表面のフィルムはボロボロ、印刷もグジャグジャ、フィルムも切れるという状態にする自信は、ものスンゴクあるぐらい、難しく・・・。
電気回路の知識なんて全く関係の無い部分なので三枚下ろしは持ち主にやってほしいところ。
自分の作業ならグッチャグッチャのボロンボロンになっても文句言わんでしょ?
とりあえずフレキを繋がないとスイッチパネルの回路の確認もできないのでなんとかフレキを繋ぐ事にする。
■フレキ部分の修理方法を検討
最初は、ヒートシールコネクタならばフレキの親戚みたいなモンなんで再断線の発生率が下がるカモ?と、部分的にヒートシールコネクターを溶着して修理できるかな~とも考えたのですが、調べたら溶着するのにハンダよりちょっと低い程度の温度は必要で百数十度と危険域に突入してしまいリスクが高すぎるので却下。
今まで劣化断線したフレキの断線を繋ごうと熱をかけてトドメを刺した事が何度も!!あるので熱をかける補修はしない。
熱線の補修用の導電インクでなんとかならないかと調べていたら導電性接着剤というのを発見。導体が接着出来れば!?補修に使えるかも?
でも、某通販サイトで導電性接着剤のレビューを確認した範囲では、接着力が弱いだ、接着しないだ、ノズルから接着剤が出てこないだ、固まらないだ・・・ホボすべての書き込みがクレームに近いような感じで・・・散々 (^^;
その上、銀がベースなので高価な上に、日持ちしないという・・・。でも、他に代案も無く・・・。
これ以外の代案も浮かばないのでダメ元で購入。初物で、いきなり本番作業に入る勇気は無いので予備実験
案1、極細被覆線 ちょっと力をかけたら外れる
案2、極細鈴メッキ線 乾燥待ちの間に取れてた。線が固すぎ。
某所のレビューから想像していた以上に接着力が弱く、商品説明のイメージ画像のように電子パーツを導電性接着剤で繋いで電子工作しよう、なんていう用途には向かない感じ?
乾燥しないと導通せず、夏場でも固まるまで半日ぐらいは触らず静置したほうがよさげ?余裕があれば1日以上は置いたほうが無難?
また、乾燥前と後の容積変化が、木工ボンド並かそれ以上に大きくて、線より短冊状のもののほうが着けやすそう?
実験の結果、短冊状で電気の通りが良くて柔らかいもののほうが接着に向いていそうなので、比較的容易に購入出来た銅箔中では一番薄い50ミクロン厚の極薄銅箔で試してみる。
案3、極薄銅箔 とりあえず着いたものの、思ったより柔軟性が無くフレキが何度か動いたら剥がれそうなので。没
これより柔らかくて、導電性のあるものとなると・・・。
更に薄い銅箔?金箔??? 金箔と言えば・・・。これは材料を入手するために金沢まで行くしかない!!
補修用材料を入手するのにどうしても行かないといけないんだから、金沢までの往復の新幹線代と、温泉街宿泊費諸々程度なら紛れていても補修するのにかかる費用としては安いモンでしょ???
でも、金箔は柔らか過ぎて、扱いが難しそうで、千切れたりしてボツになる可能性が無くもないので、涙を呑んで保留 (T_T)
ま、修理に必要な金箔を東茶屋まで行って仕入れるという表向きの名目で、そこから徒歩圏内の所でラーメンを食べたいダケですが、何か?
案4、アルミコートされた防水紙
他に使えそうなものは無いかと他の材料を探していると、アルミコートされた防水紙が柔らかくて良さげ?
厚さは50ミクロンなので銅箔と変わらないのだけれども、ベースが紙なので柔らかく、単品でテスターを当てて抵抗を見たところ抵抗も測定誤差以下で、銅箔と変わらない。
表面のコーティング?酸化被膜?を落としたうえで接着してみたところ、接着性も良く銅箔の時のように動かしても接着部が動いて徐々に剥がれてくるような感じも無く、かなり良さげと思ったのもつかの間、導電接着剤との相性が悪いようで、状態が良くても160Ωとか抵抗が大き目で抵抗値が安定せず、高くなりやすいので没 orz
でも、単品の結果が良かったので、次の策が没だったら追加研究するかなと?保留。
案5、導電糸
色々と試してみたものの、一番最初に頭には浮かびはしたもの即却下した導電糸ぐらいしか無さげ?
これね、超極細ステンレス線を撚った特殊なものらしくステンレスなので長さあたりの抵抗値がそこそこ高いから導体として使うにはイマイチで、スマホ用手袋を自作する人が手袋の指先に縫い付けるのに使う程度の応用が主。しかも、値段が高く、選択肢が少ない。選択肢が少ない中で、最近太いものが主流になっているようで入手に気を付けないと・・・。
これがダメだったら 「万策尽きた~ orz」 と、ラーメン食べに、もとい金箔買いに金沢行って来よう~♪
とりあえず手持ちのミシン糸で糸の接着強度を確認してから購入したほうが良さげ? 金ほどじゃないにしても高いんだもん導通糸。
ミシン糸なら接着強度的には今回試した中で一番よさげ。当然導通は無いけどw
導電糸を購入してくっつけてみたら案の定数センチで何Ω。なるべく短く繋げば大丈夫そう???
と、部材の入手と奇術開発に時間を食われ、部品を受け取ってからここまで約一ヶ月 ・・・。
導電性接着剤と、導電糸の組み合わせで補修することで腹を決める。
接着が終わり、上からスイッチパネル側のフレキをちょっと削った部分
と端子の間の導通を確認し、弾力性のある接着剤で保護。保護用の接着剤のせいで断線したなんて本末転倒な事になるので、基板側へ繋がる端子と、スイッチパネル近くのフレキとの間の抵抗を再計測。
補修部分は保護処理前と同じ8~9Ωの間で安定していてショートも無し。非補修部も同じ条件で6Ω前後あったし、接続先にあるプルアップ?抵抗が1kΩだったから数Ω増えても誤差。
しばらく持ちそうな程度には補修できたのでOKでしょ?
初めての部材で試行錯誤した割には良さげに補修できたものの、なんとか接合した部分の接着力も強くは無く、そんなに長期間持つとは思えないので、繋がっている今のうちに念のための保険としてスイッチパネル内部の接続をテスターで確認しておく。基板側の回路から推測するに
一番右が共通端子のようだ?
でも、スイッチパネルから出ている線が共通の端子を入れて線が7本なので6つ分のスイッチの信号が通っているのが普通なのに・・・。
スイッチが左右合わせて7つ
フレキとスイッチの関係から見て左側の3本は左の4つのスイッチ、真ん中の2本が右上の2つ、右の2本が右下の赤いボタンと共通端子???
普通に考えると1本足りない。嫌な予感。
スイッチを押したときの導通を確かめたところ、右下の赤いボタンだけは数十~数百Ωと大き目ながら反応した他は全部の端子の組み合わせを試すも全滅・・・。嫌な予感がした、どころか悪夢 orz
レンジを上げて2メガオームのレンジですら導通が確認できなかったのでスイッチパネルの内部で断線しているとしか・・・。
最初の確認でスイッチを押しても反応が無かったのは、スイッチパネルの内部がダメだったからっぽい。というか、その時点で気がつけ!!オイラ (*_*)
ちゃんと状況も聞かず、フレキ治せば治るはず?なんて中途半端に聞いた話で決めつけ作業を始めてしまったのが間違い orz
要するに
フレキが切れたせいで使えなくなったのではなく、タイヤチェンジャーの調子が悪いのでスイッチパネルを取り外して点検しようとしてフレキをブッチ切った
のだとしか考えられない感じ。
つまり
もともとスイッチパネル自体が故障していた
んじゃん!!
つまり、フレキ部分の修理に費やしたお金と、時間が無駄になったという事 orz
スイッチパネルの内部は推測するに・・・。
ノートパソコンのキーボードなんかでよく使われているフィルムに導通性インクで印刷して回路を作ったもののようで、古いノートパソコンなんかで起こるキーの歯抜けや、キーボードが反応しなくなる故障と同じく、導通性インクが湿気やこぼした液体でショートや腐食断線したり、酸化して導通不良・・・。
なんて!!この写真のような事象が起こっているのじゃないかと?特に右下の腐食が酷いの図。(写真は某所で記事を書くのに使ったものの使いまわし)
分離して治そうとすると断線を増やして、悪化しかしない。
こういうのは治せないので外付けキーボードか、部品交換修理のパターンになる。
スイッチパネルを修理をするならば、ノートパソコンとは違いキーの数が7つと少ないので汎用のスイッチで作り直せばなんとかなるカモしれない??? けれども・・・。
そのためには回路を探る必要があるので非分解構造の接着張り合わせスイッチパネルを無理やり三枚下ろしでひっぺ返してスイッチの接続を探り基板を起こす必要があり・・・。
試しにパネルの端っこをちょっと引っ掻いてみたのですか・・・。
この時点で嫌な感じしかせず・・・。剥がれちゃいけない表面の透明な膜は経年劣化でペリペリッツとあっさりと剥がれるくせに、その下のフレキ層と簡単に分離してほしい本来の印刷面の層は超強力に張り付いていて印字面が千切れたり、ベロンベロン伸びてグジャグジャなる気しかしない状態で、これ以上剥がしたら最後「どうするんだよ、これ」と、涙目で困り果てている自分の姿しか浮かばない (((((((・・; サササッ
これ以上の領域に入ると、表面の印刷されたフィルムはボロボロなるので仕上がりは汚くなるくせに、基板起こしたりスイッチパネルを加工したりで部材費と加工手間・時間ばかり食う修理に陥り、実費だけの段階で新品買ったほうが圧倒的に安いパターンが確実で、実費すら回収できるか怪しいので進める気にならず・・・。
最初に言われていたフレキの補修は出来ているので、これで返してしまおう。